繰り上げ返済を検討中の方必読!?繰り上げ返済前に確認すべきポイント
住宅ローンは20年、30年と返済期間が続きますが、返済中に家計に余裕が出てきたら、ローンを少しでも早く減らすために繰り上げ返済を検討している人も多いかと思います。繰り上げ返済により、借入期間の短縮や返済額の軽減などができます。ここでは繰り上げ返済の基礎知識やタイミング、確認すべきポイントについてご紹介します。
もくじ
【基礎知識】繰り上げ返済には2つのタイプがある
毎月の返済額と別に借入金の一部もしくは、全額を返済する繰り上げ返済には2つのタイプがあります。
期間短縮型
繰り上げ返済後も毎月の返済額は変更せず、返済期間だけを短縮するタイプです。繰り上げ返済しても効果がなかなか感じられませんが、利息の軽減効果が高いので、定年以降に完済がずれ込む人や少しでも早く返済を終えたい人におすすめですが、マイカー購入や子どもの教育費などによるローンで月々の支払いが増えた場合に生活費に影響がないか確認してから実行することが大切です。
返済額軽減型
繰り上げ返済後も返済期間は変更せず、毎月の返済額だけを減らすタイプを返済額軽減型といいます。
利息の節減額は期間短縮型と比較すると少ないですが、子どもの教育費のピーク時や働き方を変更したことで収入が減ったときなどに、この方法をとることで家計における住宅費の負担を減らすことができます。
確認ポイント①:繰り上げ返済のタイミング
預貯金のすべてを繰り上げ返済に充てるのはリスクが高いためおすすめできません。万が一に備えてある程度の資金を手元に残しておくようにしましょう。では、繰り上げ返済のタイミングはいつがいいのでしょうか。
3つの要素
繰り上げ返済は借入残高、返済期間残、金利によって効果が変わります。借入金額が多いほど返済期間残が長いほど、金利が高いほど効果は高くなりますので、ご自身の借入残高、返済期間残、金利を確認してどのタイミングで返済するか検討しましょう。
手数料
窓口で手続きを行う場合は数万円手数料がかかる金融機関もありますので、手数料を考慮してもその時点で繰り上げ返済するメリットがあるかどうかを見極めることが大切です。インターネット上で手続きができる場合手数料がかからない金融機関もあるので事前に確認しましょう。
住宅ローン控除
住宅ローン控除を受けている間に期間短縮型の繰り上げ返済を実行するときには注意が必要です。繰り上げ返済をすることで控除額が減りますが、住宅ローン控除を受けるための要件は返済期間が13年以上となっているため、期間短縮後に返済期間が13年未満になってしまうと住宅ローン控除の対象から外れてしまいます。
確認ポイント②:ライフプランとキャッシュフローを確認しよう
繰り上げ返済によるメリットはたくさんありますが、やみくもに繰り上げ返済を急いでしまうことで、教育費やマイカーにかかるお金が足りなくなり、結果的にお金を借りなければならないケースもあります。
企業の倒産や自然災害、ご自身の病気など、予測できないことが起こるのが人生です。自分や家族のライフプランや家計のキャッシュフローをしっかり確認しておく必要があります。
繰り上げ返済によって手元の資金が減るのは確実なので、返済後のライフプランやキャッシュフローに余裕があるかどうかがポイントになります。
確認ポイント③:住宅ローン控除や投資と比較しよう
住宅ローン控除や投資と比較すると、繰り上げ返済にはどのような効果があるのでしょうか。
住宅ローン控除
2022年度の税制改正により、住宅ローン控除の期間は13年に延長、控除率は0.7%に引き下げられました。住宅ローン控除は年末の残高に控除率を乗じて算出されますので、繰り上げ返済のタイミングによっては最大限活用できないこともあります。
借入金利が控除率よりも低い場合には住宅ローン控除の減税額のほうが大きいため住宅ローン控除を活用し、逆の場合には早めの繰り上げ返済で利息負担を減らすことを検討しましょう。
投資
日本の預金金利は超低金利が続いているため、投資によって資産形成する人が増えています。たとえば、繰り上げ返済に回す予定だった200万円を投資した場合、運用利回りが高く、運用期間が長いほど運用益は大きくなりますが、この運用益は約束されたものではなく、元本割れするリスクもあります。その点、繰り上げ返済であれば利息軽減効果を確実に得られます。
まとめ
繰り上げ返済のタイミングを誤ると、急にお金が必要になった場合にライフプランを考え直さなければいけない可能性があります。また、別の場所からお金を借りる必要があることもあります。繰り上げ返済は基本的に預貯金に余裕がある場合に行うものですが、あくまでも経済情勢などを考慮してシミュレーションをしっかりと行い、将来のライフプランやキャッシュフローをより良いものにすることができる場合に実行しましょう。